配当再投資について配当課税の前後で差があるか計算してみた
投資効率を高めるためには配当金を再投資することが有効とされている。今日は配当金が国内で課税されることなく再投資された場合と配当金が課税された後で再投資された場合の大小関係を計算してみた。
初期資産額をa0=1、投資期間をn年(n=1,2,・・・)、申告分離課税の税率をt(0<t<1)、配当利回りをd(d≧0)、年間値上がり率をr(r≧0)とおく。
1.配当金が課税された後に再投資した場合の課税後資産額An
n年後課税前資産額anはn-1年課税前資産額an-1から1+rだけ増加し、また配当は(1-t)d×an-1(課税後)だけ得られるので、
元本pn-1は初期資産額1とn-1年後までの配当額の和となるので、
よって課税後資産額Anは、
ここでa=r+d、b=tdとおくと、
よって、A0=1、A1=1+(1-t)aとなる。
2.配当金が課税されず再投資した場合の課税後資産額A'n
n年後課税前資産額a'nはn-1年課税前資産額a'n-1から1+rだけ増加し、また配当は課税されずd×an-1得られるので、
元本は初期資産額a0=1のみなので、n年後の課税前資産全額と元本の差に税率を乗じたもの税金となるので、n年後の課税後資産額A'nは、
よって、A'0=1、A'1=1+(1-t)aとなり、A'0=A0 、A'1= A1であることがわかる。
次にA'nとAnの差を計算する。このとき1-tが共通因子となるので、
とおくと、
ここでA'0=A0 、A'1= A1であるのでX0=X1=0となる。
n=k(k=0,1,2,・・・)においてとXk≧0仮定すると、
1+a-b=1+r+d-td=1+r+(1-t)d>1(∵0<t<1)であるからXk+1≧0となり、数学的帰納法により、n=0,1,2,・・・である整数nに対してXn≧0が示された。
以上より、
となるので、税率、配当利回り、年間値上がり率が同じであれば、課税無しでの配当再投資が有利であることが示された。
ただし、配当金を分配しないインデックスファンドと配当金を分配するETFを比較しようとすると信託報酬や外国税額控除の影響があるため、単純に比較することはできない。今度は具体的に数字を当てはめてみて、どれだけの差が出てくるのか計算してみたい。
今日はこの記事を書くために1日中家にこもって計算していた。何回も計算ミスをしてしまい、いろいろな問題に対処しつつLibreofficeの数式をなんとか書くことができた。若干気持ち悪くなったり、目が疲れたりしたけれど、ひとつ新しいことが分かってすっきりした。明日は絶対寝坊しないように注意しないといけない。