FIREを目指す丸刈り薬剤師の雑記帳

34歳でセミリタイアした薬剤師が考えたことを気分の趣くまま記録します。大体はどうでも良い事を書き連ね、時々役に立つか分からないマニアックな記事を書いています。過去と同じ内容の記事を書くこともあるかもしれませんが、どうかご容赦願います。また投資についての記事もありますが、投資判断については自己の責任において各自判断してください。

内部収益率で考える癖をつける

ExcelLibreOfficeなどの表計算ソフトウェアにはIRRという関数がある。これは、

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(C0、C1、C2、…、Cnは各期における金銭の収支(支出は負、収入は正の値をとる))
を満たす利回りrを求める関数である。これは内部収益率(Internal Rate of Return)と言われ、主に収支が確定している債券投資に適用することが多い。しかし他の様々な金融商品に対しても利回りを求めることができる。

 

まずは通勤定期券を購入する場合を考える。長い定期券は短い定期券より安い価格で購入ができるので、広い意味での金融商品と言える。例えばJRを使って東京駅から横浜駅に行く場合、1ヶ月定期では13,900円、3ヶ月定期では39,610円、6ヶ月定期券では66,700円となる(2019年7月18日調べ)。
3ヶ月定期券を購入した場合の利回りrを求めてみる。
C0(1ヶ月目)は3ヶ月定期券を購入し、1ヶ月分利用したので、-39,610+13,900=-25,710円となる。C1(2ヶ月目)とC2(3ヶ月目)はそれぞれ1ヶ月分利用したので、それぞれ13,900円となる。これらをセルに入力し、IRRを計算すると5.37%という値が返される。
次は6ヶ月定期券を購入した場合の利回りrを求めてみる。C0(1ヶ月目)は6ヶ月定期券を購入し、1ヶ月分利用したので、-66,700+13,900=-52,800円となる。C1からC5(2ヶ月目から6ヶ月目)はそれぞれ1ヶ月分利用したので、すべて13,900円となる。同様にしてIRRを計算すると9.92%という値が返される。月単位で考えれば6ヶ月定期券を購入するのが一番利回りが高いことが分かる。これは長期のほうが紛失のリスクがあるので、それによる高い利回りと考えることもできる。

 

若干抽象的だけれど厚生労働省が公開している生命表を用いると生命保険の利回りも計算できる。毎年の支出額は1年あたりの保険料(Xとおく)、毎年の収入額(期待値として)は死亡した場合の保険金(Iとおく)×各年における死亡率(piとおく)となる。つまりi歳における金銭収支はCi=-X+I×piである。例えばライフネット生命で33歳男性が65歳まで保険金2,000万円の定期死亡保険に加入した場合を考える。ライフネット生命ホームページにある保険料見積もりを計算すると月々の保険料は5,202円となる。まず33歳時点の男性死亡率は第22回完全生命表より0.00066であり、その時点で死亡した場合は2,000万円の収入がある。よってC33=-5,202×12+20,000,000×0.00066=-49,224円となる。これを65歳まで計算していく。
C34=-5,202×12+20,000,000×0.00070=-48,424円
C35=-5,202×12+20,000,000×0.00074=-47,624円
C36=-5,202×12+20,000,000×0.00076=-47,224円
・・・
C64=-5,202×12+20,000,000×0.01014=140,376円
C65=-5,202×12+20,000,000×0.01119=161,376円
このように計算したC33からC65をセルに入力していき、IRR(推定値0%とした)を計算するとr=1.70%という値が返された。30年ものの日本国債の利回りが0.36%なので、これよりは高いことが分かる。33歳から65歳の死亡率の合計は0.11715つまり11.715%である。決して高い確率ではないけれど、その間に死亡してしまい妻子が困窮する可能性があれば加入する必要があるだろう。

 

このように計算する癖がつくとあらゆる投資や支出に対して利回りが計算したくなる。これによって良くない金融商品を避けやすくなったような気がする。先日節税を兼ねた生命保険に加入したとき、老後に備えた保険を紹介された。興味本位でLibreOfficeで保険料と年金額を入力して利回りを計算したところ、あまりにも悲しい計算結果となった。銀行の定期預金とほとんど変わらないのである。その後は音沙汰が無いので、放置しているけれど、万が一加入を勧められたら毅然として断る必要がある。株式投資については購入額、売却額とその間に受け取った配当金が分かると過去の利回りが計算できる。過去に海外口座を使っていた2011年から2019年までの利回りは円ベースで8%程度だった。これは民主党政権時代の円高で投資を始めたことによる影響が大きい。また円高になって海外資産を安く買い増したいところだ。

 

このような計算は借金に対しても行うことができる。しかし、自分は住宅ローンを含むあらゆる借金とは無縁であり続けるつもりなので、計算する予定はない。借金はクレジットカードだけで十分である。数字で表現できるものは色々計算してみると面白い発見がある。これも良い暇つぶしである。