FIREを目指す丸刈り薬剤師の雑記帳

34歳でセミリタイアした薬剤師が考えたことを気分の趣くまま記録します。大体はどうでも良い事を書き連ね、時々役に立つか分からないマニアックな記事を書いています。過去と同じ内容の記事を書くこともあるかもしれませんが、どうかご容赦願います。また投資についての記事もありますが、投資判断については自己の責任において各自判断してください。

足し算の世界と掛け算の世界

毎年100万円貯金できる労働者がいるとする。1年目の貯金額は100万円で2年目は200万円、3年目は300万円、そして10年目は1000万円である。貯金額が1年目から2年目の間に100%増加した。2年目から3年目は50%の増加率である。しかし、10年目から11年目の増加率は10%、20年目から21年目は5%、40年目から41年目は2.5%と徐々に増加率が下がっていく。これが足し算の世界である。問題は、病気や怪我で動けなくなると貯金額は全く増えなくなってしまうことである。

次は1000万円の余剰資金があり、これを配当再投資型の株式インデックスファンドに投資したとして複利で年間平均4%の収益が得られるとする。税金や手数料は考慮しない。1年後は1000万円×1.04=1040万円となり40万円増加するけれど、この収益は前の貯金額の半分に満たない。2年後は1040万円×1.04=1081.6万円となった。昨年の40万円の増加と大して変わらない。では10年後はどうなるだろうか。1000万円に1.04を10回掛け算して約1480万円となった。20年後はその1480万円に1.04を10回掛け算して約2191万円となった。そして、40年後はその2191万円に1.04を20回掛け算して約4801万円となった。これが掛け算の世界である。この40年に行ったことは1年目に証券口座に入金し、買い注文を出しただけである。あとはほったらかしである。特定口座であれば税金の計算も自動化されている。しかし、株式市場は甘くない。毎年必ず4%増加することはなく、年10~20%程度の増加が何年も続く時期もあれば、1年で50%以上減少することもある。収益率はとても不規則なのである。これは投資家が負っている不確実性である。そうなると1000万円の投資が500万円を超える損失となる。これは投資額がいくらだろうと変わることはない。100万円の投資なら50万円以上の損失、5000万円の投資なら2500万円以上の損失である。これも掛け算の世界の特徴である。しかし、10年単位の長期投資であれば損失はほとんど出ないという仮定のもと計算を行った。

40年間労働を続けて毎年100万円を貯金し続けた労働者は4000万円の貯蓄ができる。一方40年間1000万円を株式インデックスファンドに投資した投資家は4800万円に増やすことができる可能性がある。

これでは不公平な比較かもしれない。それでは1000万円貯蓄出来た10年目の労働者が30年間株式で運用したとするとその1000万円は約3243万円となる。そして、労働は辞めずに11年目から40年目まで30年間貯蓄を続けると3000万円貯金でき、株式の運用額と足しあわせると6243万円を蓄財できる。これなら老後の心配も減りそうだ。

増加率を下げないための手段としては昇給による給与の増加や節約による支出の減少がある。新入社員に自己投資を勧めるのは、労働による時給単価を上げて、貯蓄額を増やすためだからだと思う。しかし、昇給というのは今の時代、望むのは難しい。仮に上手く昇給していったとしてもいずれ増加率の減少という壁にぶち当たってしまう。やはり誰もがいずれは掛け算の世界に足を踏み入れなければならない。そのためにはまずは正しい知識を身に着けなければならない。短期売買を煽る雑誌ではなく良書(中には分厚い物もある)を根気強く読み、いち早く市場に参加するのである。

 

思いのほか長文になってしまいました。ここまで読んで下さった皆様に感謝しています。