FIREを目指す丸刈り薬剤師の雑記帳

34歳でセミリタイアした薬剤師が考えたことを気分の趣くまま記録します。大体はどうでも良い事を書き連ね、時々役に立つか分からないマニアックな記事を書いています。過去と同じ内容の記事を書くこともあるかもしれませんが、どうかご容赦願います。また投資についての記事もありますが、投資判断については自己の責任において各自判断してください。

GPIFの内部収益率

日本の年金積立金を運用している年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)は運用残高が150兆円を超える世界最大級の年金基金である。65歳以降に受け取る年金額に影響を与える可能性があるので、あらゆるメディアからとても注目度されている。業務概況書では各年度の収益率や収益額、累積の収益額などが公開されているけれど、現金の収支から算出される内部収益率は公開されていない。そこで今日はインターネットで入手できる2010年度から2019年度の10年について、業務概況書に記載されている国庫納付・寄託金の増減等から現金の収支に関わる項目を抽出し、各年度の収支から内部収益率を計算してみた。

収支の解釈については以下の通り。
運用資産額(2009年年度末)(a):2010年年度年始における資産額。これを初期投資額と仮定し、支出とする。
借入金償還・利払い(b):投資収益を下げる費用と解釈し、支出とする。
寄託金の受入れ(c):投資元本への組入れと解釈とし、支出とする。
年金特別会計への納付(d):投資収益の回収と解釈し、収入とする。
寄託金の償還(e):投資収益の回収と解釈し、収入とする。
運用手数料等(f):投資収益を下げる費用なので、支出とする。
運用資産額(2019年年度末)(g):2019年年度末における資産額。これを全て現金化したと仮定し、収入とする。
収支(-a-b-c+d+d-f+g):各年度におけるキャッシュフロー

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表より2010年から2019年の内部収益率は3.98%となった。2012年から2015年にかけてアセットアロケーションが国内債券66%から株式50%に大きく変わった過程がある。大きな資金を動かすとそれで市場が大きく動くこともある(国内債券を安く売り、株式を高く買ってしまう)ので、その中で4%近い収益を出せたのは、決して悪いことではないと思う。

 

一方で業務概況書に記載されている収益率とも比較してみた。

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内部収益率と比較して、あまり大きな差は無かったけれど、そこに大きな意味はない。
年始の資産額に比べて1年間の収益額が大きくなり、収益率が大きくなっても、それで良かったと言えるだろうか。その収益は年度の途中で追加された投資によるものであるかもしれない。絶えず現金の収支が伴う投資の収益は年始の資産と1年間の収益額だけでは判断できない。

愚直に現金の収支を追っていくことで正確な投資収益を測ることができるのだ。今後は毎年業務概況書をダウンロードして、内部収益率を計算していくことにしよう。